難易度の高い親知らず抜歯

抜歯難易度の考え方

抜歯難易度の高い考え方

親知らずの傾斜

歯が斜めや横向きに傾いていれば、それだけ歯冠(歯の頭の部分)が掴みにくくなり、抜歯の難易度は上がります。
場合によっては傾いている歯を掘り起こすために歯ぐきの切開や骨の切除などが必要となるため、より抜歯の難易度が跳ね上がります。

親知らずの根の形態

歯根(歯ぐきに埋まっている部分)の形状には個人差があり、中には真横に曲がっていたり、捻じれているケースもあります。
その様な場合は、無理に力を入れると顎の中で歯根部分が破折する可能性があるため大変危険で、もし歯根が歯ぐきの中に残ってしまった場合は歯ぐきを切開して折れた歯根を取り出す別の手術が必要となるため、患者様にも負担をかけてしまいます。

また、破折した歯根をそのままにしていると、稀に自然に出てくる場合もありますが、感染してしまうリスクが高く、強い痛みや腫れの原因になる可能性があります。

埋まっている深さ

親知らずが深い位置にあればあるほど、脱臼しにくくなるため、抜歯に時間がかかってしまいます。
また、虫歯により歯冠が崩壊している場合は、さらに抜きにくくなり、熟練した歯科医師が担当しても1時間近くかかる事もあります。

下顎の神経との位置関係

下顎の場合、下歯槽神経(かしそうしんけい)と呼ばれる口周りの感覚を司る太い神経があるので、親知らずの歯根がこれに触れていないかどうかを事前に確かめてから抜歯を行う必要があります。
もし、抜歯の際に下歯槽神経を傷つけてしまうと唇周りの麻痺が起こり、長い間唇周囲の麻痺症状が続くことがあります。

生え方による難易度

生え方による難易度

まっすぐ生えているケース

まっすぐ生えているケースは、比較的簡単に抜けるため、難易度は低めです。
虫歯で歯冠が崩壊していなければ、数分ほどで抜歯は完了し、術後の腫れや痛みも出にくいです。

斜めに生えているケース

斜めに生えているケースは、場合によっては歯ぐきの切開が必要になるため、難易度はまっすぐ生えているケースより高いです。

不正方向に生えているためとてもブラッシングしにくく、食べカスや歯垢が蓄積してすでに虫歯や歯周病になっていることも多く、早ければ15分〜30分程度で抜けますが、状態によっては1時間近くかかる可能性もあります。
また、時間がかかればそれだけ術後の痛みや腫れが出やすいです。

横に倒れているケース

横に倒れているケースは斜めに生えているケースと同様の抜歯方法になりますが、歯ぐきの中に完全に埋まっている事もあるため難易度が格段に上がり、熟練した歯科医師でも1時間以上かかる事もあります。

虫歯が進行している親知らず

虫歯が進行している親知らず

親知らずが虫歯になっていると

歯冠が虫歯によって崩壊していると、掴んで引っこ抜くという事が出来ません。
掘り起こす作業が多くなるため、処置に時間がかかり、術後の痛みや腫れも出やすくなります。

腫れている状態での抜歯

歯ぐきが腫れて痛みがあるということは、炎症が起きている状態だと考えられます。この状態で抜歯をすると麻酔が効きにくかったり、抜歯後に炎症がさらに酷くなったりする事があるため、抜歯を行わない事があります。

痛みがひどく炎症が強い場合は、抗生物質を使って腫れを落ち着かせてから別の日に抜くというケースも選択できますので、一度ご相談ください。

斜めや横向きの親知らず抜歯

斜めや横向きの親知らず抜歯

レントゲンやCTによる術前検査

斜めや横向きの親知らずは、上顎よりも下顎に多く見られ、また骨密度の違いもあるため下顎の方が抜歯の難易度は高い傾向にあります。

2〜3本の歯を中心に撮影するデンタル画像やお口全体を撮影するパノラマなど、よくある白黒のレントゲン写真では、歯や下歯槽管の位置関係はある程度把握できても、奥行きや深さなどの3次元要素まで正確に知る事はできません。

そのため、より精密な親知らずの抜歯を行うためには、平面的な位置関係だけでなく、根の先がどの方向に向いているのか、どのような形態をしているのか、といった3次元情報を歯科用CTを用いて把握する必要があります。

歯ぐきの切開と周囲の骨の除去

斜めや横向きの親知らずは、歯ぐきの切開や骨の除去が必要になるケースが多く、その分時間がかかってしまいます。

しかしながら、歯科用CTなどの精密機器を活用する事で、お口の状態を正確に把握して手術に臨めるため、神経や動脈を傷つける心配がなくなり、また無駄な歯ぐきの切開や骨の切除を行わなくて済むので、術後の痛みや腫れも生じにくくなります。

歯冠の取り出し

手前の歯に親知らずの歯冠が引っ掛かっている状態では、まっすぐ生えているケースのように上に引き抜く事ができないため、機械を使って分割して取り出します。

歯根の除去

歯根をへーベルという器具で脱臼させて取り除き、根尖が破折していないかを確認した後、止血用のスポンジを抜歯してできた穴に入れて手術終了です。

本ページのまとめ

斜めや横向きの親知らずは、まっすぐ生えているケースと比較して抜歯の難易度が高い傾向にあり、手術時間が長くなればそれだけ術後の痛みや腫れが出やすくなるため、熟練した口腔外科専門の歯科医師の元で抜く事をお勧めします。

当院では数多くの親知らずの抜歯を行ってきた口腔外科専門の歯科医師が在籍しており、難症例の抜歯も対応可能です。

他の医院で難抜歯になると言われた方や、出来るだけ負担の少ない抜歯をご希望の方は、ぜひあいおい歯科グループ 池袋駅前歯医者・矯正歯科までご連絡下さい。

記事の監修

この記事の監修 浜島均
あいおい歯科グループ
池袋駅前歯医者・矯正歯科
理事長

浜島 均

経歴

愛知学院大学歯学部 出身
愛知県済生会病院 歯科口腔外科 にて研修
同大学 顎顔面外科学講座 口腔先天異常学研究室 所属
一般歯科医院を経て
2018年 あいおい歯科グループ 池袋駅前歯医者・矯正歯科 開院

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